工業機材事業
ノリタケの概要

東山 明
ものづくりに必要不可欠な「材料を削る?磨く?切る」という工程を世界トップクラスの技術により支える、國內最大の研削?研磨工具の総合メーカーです。グループにはオフセット砥石などの汎用砥石を扱う日本レヂボンと広島研磨工業、研磨布紙を扱うノリタケコーテッドアブレーシブなどが屬しており、幅広い製品ラインナップで自動車?鉄鋼?ベアリング?航空機?造船?醫療?半導體など様々な産業の発展に貢獻しています。

主要製品
●研削砥石 ●ダイヤモンド工具 ●CBN工具 ●研磨布紙 ●研削?研磨関連商品(研削油剤等)
2021年度の業績
2020年の後半から市況とお客様の生産に回復が見られ、國內では、自動車、鉄鋼、ベアリング、電子部品関連が好調でした。海外では、北米で自動車業界に回復がみられ、中國は自動車、鉄鋼業界が堅調に推移し、東南アジアでも市況が回復したことから、國內外ともに売上が増加しました。
オフセット砥石などの汎用砥石は、國內が堅調で、海外でも大幅に伸長し、売上が増加しました。利益面においても2020年度から継続的に取り組んできた収益改善施策の成果が顕著に表れました。これらの結果、工業機材事業の売上高は、573億46百萬円(前期比21.1%増加)、営業利益は30億55百萬円(前期は12億26百萬円の営業損失)となりました。
第11次中期経営計畫の総括
第11次中期経営計畫の中間年である2020年度に入り、國內外のお客様の大幅な生産調整が発生し、生産量が急激に低下したため、そのままの體制では赤字から脫卻できないという狀況になりました。そこで、量に頼らずに収益を確保するべく、製造から販売までの全部門で収益改善策を講じたところ、黒字化を達成することができました。これは當事業にとっての大きな転換點と捉えています。コロナ禍の影響が薄れた後も、市場の方向性は元には戻らず、今も変化が続いていると実感しています。自動車産業においてはEV化やカーボンニュートラル、電子部品関連においても高速?大容量化による新たな製品や部材のニーズが高まっています。それに伴い、當社の研削製品が削る対象、削る精度が大きく変化していく時であり、これまでのように生産量を追いかけた地産地消という戦略ではなく、市場の変化に合わせた事業體制の再構築が求められています。
-
歯車研削用ビト砥石“ギヤエース” -
ビトCBN“メガライフホイール” -
ダイヤモンドベルト“アルタ” -
超硬主溝研削用メタルホイール“MDLホイール” -
オフセット砥石
第12次中期経営計畫の取り組み
2030年までを見據えると、現在はまだ変化の途中であり、今後、変化はますます加速していくと見ています。これらに対応し、事業を大きく変革していくには段階を踏まねばなりません。當事業では、第12次中期経営計畫の基本方針として「既存事業の収益改善と成長分野進出に向けた基盤整備」を掲げました。過去の歴史の中で築いてきたものから、良いものを伸ばし、整理すべきものは整理していく活動をやりきる3年間と位置付けています。
まず、事業をオーダーメイド品と汎用品に分けて再編することで、効率的な事業體制を構築します。 オーダーメイド品事業においては、既存分野で、徹底した収支改善、増産體制の確立、販売拠點の整備などにより、収益基盤を強化します。成長分野では、半導體や自動車の電動化などに対応する新技術?新製品の開発に注力していきます。汎用品事業においても、製造?販売體制の再編により、収益力の強化と成長領域への進出に向けた體制構築に経営資源を集中していきます。
MESSAGE
長期ビジョンの実現に向けて
―この大きな変革を成功に導くのは「人」です
このたび策定したグループ長期ビジョンは、研削研磨のリーディングカンパニーであるノリタケが、大きな方向転換に挑むことを広く示したもので、業界においても驚きとともに注目を集めていると認識しています。そして、當事業の長期ビジョンは、「研削研磨事業を通じて産業の成長と発展を支え、経済価値、環境価値を実現するとともに社會のウェルビーイングに貢獻する」です。將來的には、當グループが成長領域と定めた環境?エレクトロニクス?ウェルビーイングのいずれかの領域において新たなトッププレゼンスを目指します。ビジョンの達成に向けた課題はいくつか挙げられますが、まず、當社グループは強い分野の製品だけでなく、幅広い製品を手掛けてきた研削研磨の総合メーカーである點です。自動車の電動化をはじめとする、産業構造の変化が進む中、當事業では、蓄積した幅広い分野のマテリアルとプロセスの技術を活かし、新たに強みとなる製品分野に挑戦していかなければなりません。
そして、もう一つの大きな課題は変化を恐れる心の問題です。過去の成功體験にとらわれず、築いたものを手放してでも、新たな分野に踏み出すことに対する意識上の障壁です。しかし、この問題に対してはこの2年間、社員たちは自らこの壁を乗り越えてきたと感じます。この変革を成功させるために最も重要なのは「人」です。社員皆が、過去を振り返ることなく、現狀から一歩も二歩も踏み出したものづくりに挑戦し、ワクワクしながら新しいノリタケをつくっていく、そのような環境を私は整えてまいりたいと思います。
PICKUPピックアップ