トップメッセージ
獨自技術を生かして社會の推進役となり、
?地球を元気に?、?社會を便利に?、
?人と社會を幸福に?する企業を目指します

2021年度の振り返りと事業概況
新型コロナウイルス感染癥の拡大によって、世界的に様々な影響が続きました。また、再生可能エネルギーの拡大などカーボンニュートラルの取り組みの加速、電動化をはじめとした自動車産業の変革、デジタルトランスフォーメーションの加速など、當社グループを取り巻く事業環境も大きく変化しています。
國內では、新型コロナウイルスワクチン接種の進展により、徐々に経済活動が正?;讼颏?、設備投資や輸出に持ち直しの動きが続いたことから回復基調にありました。海外では、米國や歐州では感染癥による影響が緩和され、個人消費や設備投資が増加したことから景気の回復がみられ、中國は內需の拡大により景気は持ち直しつつありました。しかしながら、ウクライナ情勢など不透明感が増す中で、原油、原材料価格の上昇や半導體の供給不足による影響などへの懸念が増しています。
こうした経済環境の下、ノリタケグループの2021年度の連結売上高は前期比19.3%増加の1,276億41百萬円、連結営業利益は前期比265.7%増加の93億53百萬円、連結経常利益は前期比179.2%増加の125億9百萬円、親會社株主に帰屬する當期純利益は90億68百萬円となりました。
各事業の概況は以下の通りです。
2021年度の概況
工業機材事業
國內では、主要顧客である自動車、鉄鋼、ベアリング、電子部品関連において、顧客の生産が回復したことから、売上は増加しました。海外では、北米で自動車業界に回復がみられ、中國は自動車、鉄鋼業界が堅調に推移し、東南アジアでも市況が回復したことから、売上が増加しました。オフセット砥石などの汎用砥石は、海外が好調で売上が増加しました。
セラミック?マテリアル事業
電子ペーストは、高速移動體通信用およびパソコン用電子部品の需要が堅調に推移したことにより、売上は大きく増加しました。電子部品材料は、通信分野および自動車向けが堅調に推移し、売上は伸長しました。厚膜回路基板は、一部製品の価格改定などにより、売上は増加しました。石膏は、東南アジアおよびアフリカ向けが好調で、売上は大きく増加しました。セラミックコアは、顧客の生産調整の影響を受け、減少しました。蛍光表示管は海外向けが好調で、売上は増加しました。セラミック原料は、國內外ともに好調で、売上は大きく増加しました。
エンジニアリング事業
主力の乾燥爐および焼成爐は、リチウムイオン電池および電子部品分野が堅調に推移したことにより、売上は大きく増加しました?;旌蠑嚢柩b置は、設備投資抑制の影響が大きく、売上は減少しました。濾過裝置は、ベアリング向けの受注が回復し、海外向けは増加しましたが、國內向けは低調に推移し、売上は減少しました。超硬丸鋸切斷機は、主に海外の鋼材加工用が好調で、売上は大きく増加しました。
食器事業
國內市場は、オンライン販売、直営店で売上が伸びたものの、百貨店、ホテル、エアライン向けは依然としてコロナ禍の影響を受け、売上は減少しました。海外市場は、米國では、主要顧客向けの販売が回復基調にあり、売上は増加しました。アジア地域では、中國?インド向けの販売が伸長し、売上は増加しました。その他の國?地域でも、オンライン販売が堅調で、海外全體では、売上は増加しました。
第11次中期経営計畫(2019~2021年度)の主な成果と課題
2019年度から2021年度までの第11次中期経営計畫では、?成長性と収益性の向上?、?投資(M&A、設備、開発)の加速?、?ESG(環境?社會?企業統治)への取り組み?を経営課題として、4つの基本戦略を掲げて事業を推進しました。成果は次の通りです。
01
競爭力のある新商品?新技術開発の促進
自動車の電動化や高速移動體通信用の電子部品の需要拡大に対応し、新商品の開発と新用途の開拓に取り組み、市場へ投入しました。
02
海外生産拠點の増強と海外市場開拓の推進
中國蘇州工場では、大型砥石を増産するための新ラインを稼働しました。 タイ工場では、砥石の製造ラインを増強しました。
03
國內販売體制、製造體制の再整備
グループ會社を含めた営業?物流拠點の統合?再編を行いました。 積層セラミックコンデンサなどの電子部品材料の生産能力を増強しました。
04
ものづくり強化活動、環境活動、安全衛生活動、働き方改革と事業活動の一體化
全社橫斷組織を設け、各活動と事業活動の一體化に取り組むとともに、コロナ禍においてもウェブ會議などを活用し、これらの活動を推進しました。
また、2019年度終盤からの新型コロナウイルス感染癥の拡大による大きな事業環境の変化に対応するため、基本戦略に最重要事項として?選択と集中の加速?を加え、開発?製造から販売までのプロセスを再分析し、採算性の良い事業や商品群に経営資源を集中して、成長性と収益性を向上させるための事業體制の整備を進めてきました。その結果、2020年度第3四半期から、顕著に成果が現れ、最終年度である2021年度には業績がV字回復しました。経営目標についても、売上伸長率は、1年目、2年目は新型コロナウイルス感染癥拡大の影響を受けましたが、最終年度は、前期比19.3%となりました。営業利益率は7%の計畫に対して7.3%、ROEは8%の計畫に対して7.9%と目標をほぼ達成しました。
これらはすべて各事業部が危機感を持って収益確保に取り組んだ結果であり、當社グループに地力がついてきている証であると考えています。

未來を見據えて策定した中期経営計畫
ノリタケグループは、創業者が?我カ社ノ精神?に記した"事業を通じて社會に貢獻する"という姿勢を経営理念の核として、事業を推進してきました。當社グループがこれからも"事業を通じて社會に貢獻する"企業であり続けるためには、今後の不確実で先が予測しにくい経営環境に対応していく必要があります。
そこで、第12次中期経営計畫(以下、第12次計畫)の策定にあたっては、長期的な視點を持つ必要があると考え、2030年に向けた長期ビジョンを定めることとしました。2030年は、世界的な一つの節目の年とされ、SDGsのゴールの年で、且つカーボンニュートラル達成に向けた中間目標の年です。
當社グループの長期ビジョン(ありたい姿)の策定にあたっては、2021年度から取り組んできた選択と集中の成果を踏まえた各事業の現狀分析、當社グループの技術的強みと課題の抽出、中長期の外部環境予測を行い、役員全員で議論を重ねました。そして、長期ビジョンの実現に向けた方向性を描き、2022年度からの3年間で取り組むべき戦略を定めました。
2030年度を見據えた長期ビジョン(ありたい姿)は、當社グループならではの価値提供を通して、社會から必要とされ、欠かせない存在になっていくという想いを込め、?マテリアル×プロセスの獨自技術で変化する社會の欠かせない推進役へ?としました。ノリタケグループは、今後の社會の変化に対し、お客様が次に求めるものを予測し、新たな製品や獨自の技術を開発、提案し、高い価値を提供していきます。2030年までの各中期経営計畫を通して、経営基盤を強化するとともに成長領域に注力することで持続的に成長し、社會に貢獻します。
この長期ビジョンを実現するため、?選択と集中(環境/エレクトロニクス/ウェルビーイングの領域へ)?という全社戦略(基本方針)を掲げました。今後の成長が期待される環境?エレクトロニクス?ウェルビーイングの3分野を成長領域と定めて?選択と集中?を進め、現狀の基盤領域(內燃機関、窯業など)から成長領域(環境?エレクトロニクス?ウェルビーイング)へ事業領域の転換を図ります。
また、成長領域への取り組みを通じて、當社グループは、?地球を元気に?、?社會を便利に?、?人と社會を幸福に?する企業を目指します。
2030年に向けた「仕込み」の3年として
2022年度からスタートした第12次計畫は、長期ビジョンの達成に向けた、?収益基盤の強化と成長領域への仕込み?の期間と位置付けています。?収益基盤の強化?として、不採算商品?事業の再編、収益改善?合理化を進め、?成長領域への仕込み?として、増産?拡販への対応、経営基盤の強化を進めます。特に、経営基盤の強化としては、2022年度から、?新事業創出?、?組織風土改革?、?サステナビリティ経営?、?DX推進?の4つのテーマで全社橫斷の取り組みを開始します。
また、各事業では、以下のような取り組みを進めていきます。
工業機材事業は、「既存事業の収益改善と成長分野進出に向けた基盤整備」として、事業をオーダーメイド品と汎用品に再編することで、効率的な事業體制を構築します。
オーダーメイド品では、徹底した収支改善、増産體制の確立、販売拠點の整備などにより、収益基盤を強化します。また、半導體、自動車の電動化などの成長領域における新技術?新商品の開発を進めます。
汎用品では、経営基盤の効率化と製造?販売體制の再編により、収益力を強化します。また、成長領域への進出に向けた製造?開発?営業體制を再構築し、経営資源の集中を図ります。
セラミック?マテリアル事業は「さらなる事業基盤の強化と先端分野への拡大」に取り組んでいきます。
電子ペーストは、エレクトロニクス分野において、製品ラインナップの拡張と生産能力の増強によるシェアの拡大、新商品の開発を進めるとともに、人材育成に注力します。
電子部品材料では、積層セラミックコンデンサ用材料の生産能力増強による事業の拡大、成長領域における新商品の開発を進めます。また、事業の選択と集中をさらに進め、新商品?新事業の創出により、事業ポートフォリオの再構築を図ります。
エンジニアリング事業は、「事業規模の拡大と新分野の開拓」を目指し、エネルギー、エレクトロニクス分野では、拡販とアフターサービス體制の強化により、シェアの拡大を図ります。自動車分野では、電動化に伴う新用途?新商品の開発を進めます。合わせて、醫療?醫薬、半導體といった新分野への參入と市場の開拓、環境分野での新用途?新商品の開発を強化します。
食器事業では、黒字化の達成を目指します。國內で、オンライン販売の強化とホテル?レストラン向けの拡販を進めるとともに、流通販路?物流の再整備による経費削減を図ります。海外は、成長市場であるインド、中國、東南アジアなどの主要國での拡販に取り組みます。
以上のような取り組みを進め、第12次計畫では、最終年度である2024年度に売上高1,470億円、営業利益130 億円を目指します。また、営業利益率は9%、自己資本利益率は9%を目標とします。さらに、第12次計畫からは、キャッシュフロー創出力を管理する指標として、FCF(フリーキャッシュフロー)を加え、3年間の累計で200億円を計畫し、創出したFCFは、主に成長分野へ再投資します。
ESGに対する取り組み
環境(E)について、ノリタケグループでは、地球環境の保全を重要な経営課題の一つとして位置付け、事業活動を通じて?持続可能な社會?の実現に貢獻することを目指しています。當社グループは低炭素社會への移行?2050年のCO?排出量ネットゼロに向け、長期環境目標として、CO?排出量は2030年度50%削減(2018年度比)、2050年度実質ゼロを掲げました。再生可能エネルギーの導入や既存設備の省エネ化をさらに推進し、事業活動のすべてのプロセスで環境負荷の低減に努め、脫炭素社會の実現に貢獻します。2022年8月には、金融安定理事會(FSB)が設けた?気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD※)?の提言に賛同することを決定しました。
社會(S)については、企業倫理綱領に定める?倫理規範?、?行動基準?に従い、全社員の基本的人権を尊重し、採用?昇進?処遇などのいかなる場合においても、年齢?性別?出身?國籍?人種?障がいの有無?宗教?支持政黨などを理由とした不當な差別を行わないことを基本方針として多様な人材の活躍を推進しています。
當社グループでは、女性が能力を発揮し、活躍できるよう、環境を整備しています?,F在の課題は、管理職?役職者に占める女性の割合や、將來の管理職?役職者候補となる総合コースの女性の人數が少ないこと、仕事と家庭の両立を支援する環境整備が不十分であることと認識し、研修の充実やライフイベントに配慮した制度の拡充など、改善を進めています。
育児休業については、女性従業員の取得率は既に100%となっていますが、男性従業員の育児休業取得率向上を目指した全社活動を推進していきます。
また、従業員とその家族の健康づくりも積極的に進めています。例えば、検診受診率の低い乳がんの検診費用補助の増額や、従業員とその家族を対象とした健康Liveセミナーを実施し、満足度は84%と好評です。ノリタケグループでは、従業員の活力が企業活力の源泉と捉え、今後も、従業員の健康づくりをサポートしていきます。
ガバナンス(G)については、継続して役員トレーニングの充実、リスク管理體制の強化に取り組んでいます。
サプライチェーンにおいても企業の社會的責任への要請が高まる中、ノリタケグループとして購買方針を制定し、お客様に満足していただける製品とサービスを継続して提供するための活動に取り組んでいます。2021年度は、お取引先様と企業の社會的責任に共に取り組んでいくための指針として?ノリタケグループ購買ガイドライン?を新たに制定しました。この周知を図り、引き続き、お取引先様と良好なパートナーシップを築き、良い製品?サービスを継続して提供していきます。
なお、2022年4月、東京証券取引所の再編に伴い、當社は「プライム市場」に移行いたしました。プライム市場上場企業として、コーポレート?ガバナンスの拡充やサステナビリティへの取り組みを積極的に進め、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
※TCFDについて
TCFDは?Task Force on Climate-related Financial Disclosures?の略で、G20からの要請を受けた金融安定理事會(FSB)によって2015年12月に設立されたタスクフォースです。2017年6月、気候変動に関連するリスクや機會についての情報開示を推奨する報告書を公表し、世界中の企業や機関がTCFD提言に賛同しています。
ステークホルダーの皆さまへのメッセージ
ノリタケグループは、株主の皆さまへの利益還元を重要な経営方針として位置付け、長期的、安定的な配當を継続することを基本とし、業績、財務狀況、今後の事業展開を総合的に判斷して成果の配分を行うこととしています。2021年度の年間配當につきましては、業績および今後の事業環境、業績見通しを総合的に判斷した結果、1株につき80円(中間配當と合わせて年間150円)とすることといたしました。
ノリタケグループは食器の製造から始まり、砥石や電子部品材料、乾燥爐?焼成爐などの多種多様な製品で様々な産業を支え、社會に貢獻してきました。電子ペースト、電子部品材料、乾燥爐?焼成爐などは安定して伸長していますが、祖業の食器や砥石など長い歴史を持つ事業は変革の時を迎えています。また現在、當社グループを取り巻く経営環境は、これまでにないスピードで目まぐるしく変化しています。事業ポートフォリオの見直しなどを含め、社會の変化にしっかりと対応し、これまで蓄積してきた技術を新たな成長分野に活かし、すべてのお客様によりよい製品?サービスを早期に提供していきます。さらに、SDGsやカーボンニュートラル達成に向けた製品の製造?開発も推進していきます。
株主様、お客様、従業員、地域社會など、ステークホルダーの皆さまの聲を真摯にお聞きし、適切に、迅速に対応していくことを私たちの責任と使命とし、これからも社會から必要とされる企業であり続けたいと思います。
引き続き、ご支援を賜りますようお願い申し上げます。

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